山に行く前には、登山計画書が必須

山に行く前には、登山計画書が必須

登山届はなぜ必要?

出典:PIXTA

 

正直なところ、登山届けは「面倒」というイメージがつきまとう。

自分は迷わない。事故をしない。そんなに難しい山にはいかないから。

などと、なんらかの言い訳をつけて、無届けで登山をしてしまいがちではないだろうか。

しかし、その言い訳が「自分の命」を、さらには、「助かるべき他人の命」を失うきっかけになりかねないのである。

警視庁HPより)

これは、平成30年までの、山岳遭難発生数の推移である。

30年間でもほぼ4倍に増加している。

登山者数の増加が要因の一つではあるが、対して、救助する者は比例して増加しない。

遭難件数が多くなればなるほど、より多くの人手が必要になる。

「3・3・3の法則」

と言われるように、「時間」が生存可能性を大きく左右する。

登山計画書を提出することで、この捜索区域を限定し、

この「時間」の短縮に大きく寄与する。

そして、この「時間」の短縮が、より多くの遭難者の発見につながるのである。

 

だから、自分の生存可能性を高めるだけでなく、

より多くの人を助けるために、登山届けは必須である。

 

登山届けのメリット

山行一帯の理解につながり、より登山を楽しむことができる。

 

 

遭難者の実態

 

遭難件数を挙げたが、

もう少し細かくしたものが以下である。

 

これは、遭難者数と、その中に含まれる負傷者と死者、行方不明者の推移である。

 

死亡遭難は平行線だが、

大きな増加を見せているのが、負傷者である。

この事例には複数の要因が挙げられる。

①通信機器の発達により、重大事故になる前に救助が可能になった

②自分の能力を過信した登山

③わずかなケガでも救助を要請するようになった

 

実際に、①については、以下に示されている。

 

これは、遭難時の救助に携帯電話などの無線機器を利用した割合の数である。

携帯電話を使用して救助を要請した割合は20%ほどの増加が見られる。

携帯電話の所有数の増加や、利便性が、より重大な遭難事故を防ぐのに一役買っているのである。

しかし、いまだに電波の届かない山域が多かったり、

充電がなくなれば使用できなくなるので、その点は注意が必要である。

 

登山届けの提出が義務化?

 

すでに、一部の山域では、登山届けの提出が義務化されている。

注意しなければならないのが、違反した場合、罰則もあるという点である。

 

・長野県(2016.7~)

・岐阜県(2018.12~)

・山梨県(2019.12~)※現在、義務は12月~3月の冬季のみ。

・谷川岳の岩場地帯

 

長野県では、2016年に長野県登山安全条例が告示され、一部を除く山域で登山届けが義務化された。

「御嶽山」「槍ヶ岳含む北アルプス一帯」「乗鞍岳」「浅間山」

 

など、馴染み深い山も数多く含まれている。

 

この条例では、以下をポイントに挙げている。

登山を安全に楽しむための環境を整備する。

  • 登山は自己責任の原則を踏まえつつ、登山を安全に楽しむために、登山者が守るべきルールや県の責務・施策等を明確化
  • 広範囲な山岳を対象に、現在任意である登山計画書の提出を、条例に根拠を持たせ広く呼びかけていく。(義務化とするが、罰則規定は設けない。)
  • 山岳関係者、市町村、国、県等の関係者による山域の将来像を策定し、安全に登山するためのインフラである登山道や標識等を継続して整備していくことを規定
  • 火山については、突然の噴火により多くの登山者が被災する可能性があり、必要な施策を規定

(長野県HPより)


 

山梨県では、2019.12月より登山届けの義務化が実施された。

 

現状では冬季のみであるが、今後シーズン問わず拡大すると考えられる。

主な山域は、

「富士山」「南八ヶ岳(赤岳、権現岳)」「南アルプス」

 

山梨県の条例では、登山計画書の必要性を以下のように記載している。


登山計画書の必要性

登山計画書の作成や提出には、様々な効果があります。

しっかりとした行動計画を立てることで、山の特徴を知り、自分に合った「安全登山」ができます。

最近は、インターネットやスマートフォン等の普及により山の情報を得やすくなっています。見ただけ、聞いただけでは登山の経験にはなりませんが、イメージすることはできます。

パーティー(同行者)や家族等の情報共有ができます。

パーティー同士で情報を共有し、人任せの登山をやめましょう。また、家族等に計画内容を伝えることで、万が一の場合に迅速な対応ができます。

ルートや宿泊先等を記載することで、万が一の場合に迅速な救助活動につながります。

山梨県HPより)


 

 

 

登山計画書の書き方

 

登山計画書の作成に使うツールは様々である。

①Excelなどで自作する(フォーマットをダウンロードする)

②webサービスを使用する

③登山口にある用紙を利用する

 


①Excelなどで自作する

 

メリット

・誰が見てもわかりやすい。

・印刷し、持参したり、各提出先にそのまま提出できる。

・オンラインで共有して、パーティで作成できる。

・地図を加えたり、アレンジが可能。

(大学時代は、このように、10ページほどの計画書を作成し、

大学総務に提出、許可をもらう必要があった。)

 

デメリット

・一から調べて記入する必要があるので、正直面倒。

・計画を確認するのに、オンライン環境が必要。

(PCに保存していた場合、登山時に確認ができない)

 


②webサービスなどを利用する

今の一番の主流ではないだろうか。

計画書を作成できるものとしては

・YAMAP

・ヤマレコ

・コンパス

などが挙げられる。

 

それぞれの違いについては、別記事で挙げていく。

 

メリット

・候補から選択する形で項目を埋めていくので、初心者でも作成しやすい

・記入したフォームをそのまま機関に提出できる

 


③登山口にある用紙に記入する

しゅって

出典:PIXTA

 

百名山などの、人気な山には設けられていることがある。

そこまで普及率は高くないので、お守り程度に考えておくのがベター。

 

登山届けの提出先

こちらにまとめてあるので、参考にしていただきたい。

 

 

〜まとめ 遭難しないために〜

 

登山という行為をする限りは、遭難の可能性は必ず出てくる。

いかに0に近づける努力をするか。

それは、自分を助けるのみならず、

他人をも助けることに繋がることを忘れないで欲しい。

 

 

 

 

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